群馬県生涯教育センターで去る9月24日にNPO法人群馬県自然保護連盟の創立40周年記念講演で表記の会が開催されました。
2年ほど前にNHKラジオで放送された唐沢氏の「都市鳥ウォッチング」を聞いてその録音をこのブログに載せたことがあり、また同氏が管理する掲示板「Karasawa Koichi 人と自然と野鳥のコーナー」にも何度か寄らせて頂いたこともあって講演会に出かけてみました。その様子と講演の要旨をここにアップしてみます。
講演は昭和20年代の唐沢氏の生まれた嬬恋村の戦後の荒廃した様子から始まりました。その当時GHQによるオースティン博士の勧告で愛鳥週間が始まり文部省による小中学生によるコンクールも開催され、中学生だった唐沢氏はシジュウカラの巣箱を利用した観察記録で文部大臣奨励賞をとりました。これが唐沢氏が野鳥・都市鳥研究に進んだルーツだったと述べています。また大事なことは自然を守るためには荒廃した大地に直に木を植えることではなく野の鳥を守り育てそして自然を守るための啓蒙教育活動が大切と述べていました。講演の中でこのテーマはは色々な場で形を変えて述べられていました。
その野鳥を守るに関連して真鶴半島に見られる350年前の小田原藩の「魚付き保安林」のはなしから、戦乱で荒廃した1600年代半ばに自然保護で成果を上げた熊沢蕃山による岡山藩の改革を例に挙げられました。そのひとつが「腹くぐり植物の利用」です。この腹くぐりとは野鳥などの体内を通った種子による植物のことで、種皮が柔らかくなったり果肉が消化されて発芽しやすくなるとのこと、蕃山は野鳥を大切にしてその腹をくぐった種子が発芽・成長しやすい環境づくりをおこなったとのことです。
また腹くぐり植物の例として唐沢氏の研究のルーツ・シジュウカラがねぐらに利用する巣箱(ねぐら箱)に溜まった糞を調べてその種子の種類の多様さを述べています。ムラサキシキブ・キブシ・ヌルデ・コウゾ・・・その多様さに私も聴いていてビックリしました。そして子育てする巣と寝泊りする巣は別ということも改めて知りました。卵を抱いている間は別にして一生懸命雛に餌を運ぶ親鳥の寝床は別の巣、考えてみればそうなりますね。
講演はつぎに天明3年の浅間の噴火による気候変動から利根川流域の治水に触れて「法律による取締りだけでは自然は守れない」と渋川市立南雲小学校のヒメギフチョウを守り観察する「赤城姫を愛する集まり」という自然教育の取り組みが話題に上がりました。小学生の手で食草であるウスバサイシンを育て、卵の数や成虫になる数を調べることがおこなわれているとは驚きでした。
話題は次に都市鳥の代表といえるツバメへとすすみ、ツバメの渡りを利用して1954年の水爆実験の影響調査からはじまり、江戸時代の小林一茶の句「乙鳥来る日を吉日の味噌煮哉」などに見られるように如何に日本人の心に深く身近な親しい鳥としてツバメが捉えられていたか、へとすすみました。なかでも水爆の影響で部分白化がツバメに見られたとは驚きでした。また、江戸以前の今昔・竹取りの時代、さらに縄文弥生まで講演は触れられてゆき、ちょっとビックリでした。さらに都内のツバメの数の変化、特に都心のツバメの営巣数の激減振りに触れられて改めて驚かされました。その原因のひとつに都心での泥などの巣材不足が挙げられるそうです。確かにアスファルトジャングルの都会で泥を探すのは難しそうです。
更に講演はそのツバメの大敵であるカラスへとすすみ、ハシブトガラスとハシボソガラスの行動様式の違い、そして頭が良くて遊び好きであることに触れました。そのなかでハシブトガラスは高所から飛び降りて採餌し、その移動距離は30歩以内、ハシボソガラスは地上を歩いて移動しその距離は1000歩以上、には教室内に笑いが起こりました。また車に轢かせて胡桃を割る行為は最初自動車教習所で学習し、それが同心円状にその行動が広がっていったということにも改めてビックリしました。カラスの学習能力の高さは想像以上です。
また、カラスの遊びも多様で電線に片足で逆さにぶら下がってブラブラしたり、滑り台や雪の傾斜路を滑って遊んだり、更にビックリしたのはカラスの火遊び・実際は溶けた蝋をなめているようですが、それにテニスをして遊ぶカラスにも、驚きました。左は地下鉄のポスターでかなり話題になったものとのことです。皮肉が利いていますね。なお、ポスターの左下隅にこのポスターの言いたいことが述べられています。
講演の最後に江戸時代に見られた野鳥の図「江戸~緑と水と野鳥」を挙げてその頃の野鳥の種類の豊富さと豊かさ、そして田圃を荒らすということでトキもその当時は害鳥だった事にも触れて、さらに原発問題にも触れたところで講演は終わりました。
終了後質問も受けられ、スズメの減少についてロンドンではイエスズメが見られなくなったという例や巣作りする場所の減少などを挙げて親切に答えておられました。
もしかしたら私の拙文中にまとめ方等で唐沢先生の意と違うところがある哉も知れません。そのところはどうかお許し下さい。
唐沢先生には野鳥に関する貴重なお話を判りやすくまた楽しく聞かせていただき有難うございました。ここに深く感謝申し上げ、またこのような機会を設けていただいたNPO法人群馬県自然保護連盟にもお礼を申し上げてこの記事を締めたいと思います。
なお、講演会で使用された写真をここで使用することはできません。演示された写真を元にしての文章なので、この説明のみでは不明瞭の部分があるかもしれません。どうかご了承ください。
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